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2012年12月20日

四駆放浪児

好きな本のこと。
今回は釣りじゃなくて車の本。

四駆放浪児
鬼塚順・著「四駆放浪児」。

この本が発行されたのは平成3年。1991年ですな。
世はバブルの真っ只中。当時、高校生だった自分は、そんな好景気など感じることもなく・・・部活と釣りと爪のアカほどの勉強に明け暮れていた。いや、勉強は爪のアカほどもしてなかったな(笑
メディアからはクリスマスプレゼントは何万円以上とか、やたらと男と女の関係に金銭の額が話題になり、世の中は浮かれ気味だったのかもしれない。後に「バブル世代」とよく比較される「氷河期世代」となる自分には、よくわからない時間の時代だったことは確かだ。
ただ、この年、新日本プロレスの夏の風物詩「G-1CLIMAX」が初めて開催され、全くのダークホースだった蝶野が優勝し、かたや全日本プロレスでは世界タッグ戦で三沢が鶴田から初のギブアップを奪ったことはよく覚えている。ま、一般的にはどうでもいいかもしれないが(笑


で、この本だが、当時大流行していた4WDについての本である
当時、ごついフロントグリルなどでゴテゴテに着飾ったパジェロ等が街中に溢れていた。
私がこの本を手にしたのは高校3年生の時。(受験生のくせにこんな本を読み耽っていたから、どんな学生だったかは大体想像はつくわな・汗)発行されてから少し時間が経っているが、昔から「クロカン4WD」と分類される車が好きだった。スポーツカー等には全く興味は無いのだが、見た目がごつく、悪路走破性が高くて釣りやアウトドアに向いていることが、自分の趣向に合ってたんだろう。
実際、今まで乗り継いできたのも現在乗ってるのも、その類の車である。

当時はブームということもあってか、様々な4WD関係の本が出版されていた。
カスタムや悪路を走破するクロスカントリーのテクニックなどいろいろあったが、この「四駆放浪児」の特徴は、いっさいそのような着飾って目立つためのカスタムやオフロードテクニックなどにはほとんど触れられていない、極めて異端な「四駆本」なのである

では、どんな本なのか。
少し本書から引用してみよう・

「四輪駆動は何時どこにでも行ける。クルマらしいという意味では最も自動車らしい。そこで家のテーブルの上に飲みさしのジンがあると、数時間後には野外のテーブルにある。一瞬の放浪であっても、ずっと放浪するのでも、本書は四輪駆動を最も自動車らしく使いこなすために、書かれた。」

「おじさんのきっと、自動車が本来の機能とは別の意味で自慢になっていることがいやになってしまったのだろう。『ようし分かった。かぎりなく男らしい、どうしようもなく潔い四輪駆動の本を作ってやろう』とそのとき決意した。それがこの本だ。なめんなよ、である。」

「八甲田の発着ホームには出稼ぎ労働者の哀愁が渦を巻く。四輪駆動のそれは、同じ男の哀愁でも映画の台詞のように実在はしない。テールライトを見送る誰かの目に、そいつが漂って見えさえすればいのだ。だから四輪駆動なのである。」


これだけでは、よくわからないと思うが、要は浮かれた世間や当時の車シーンへのアンチテーゼが多分に含まれており、四駆を使った旅、外で迎える夜の過ごし方、野外で飯をくうことなど、四駆をひとつの道具として使いこなし、豊かな野外での時間の過ごし方のヒントがたくさん書かれている。
そこには道具選び等、男心をくすぐるものもいろいろと登場し、読むものの気持ちを高揚させる。


ひたすらに男らしく、どんよくに楽しんでやろうとする気概が伝わってくる。
クルマの本であって、実はクルマの本ではないのかもしれない。
そんな魅力の詰まった異色作といえよう。



私も一時期、乗用車ではとても入れないような林道に入っていき、やがて行き着いた眺めのよい開けた終着点で、パーコレーターでコーヒーを沸かし、景色を眺めながら時間を過ごすということをやっていた時期があった。
音、あくまで静かな世界の中で、豊かな眺めを前に見つめていたのは、実は自分の内面だったのかもしれない。
こんな場所で過ごしていると、やたらと素直な気持ちで自分の内面に対することができる。
オレはもう一人の自分に会いに、山に入っていたのだろうか。まだ若く多感な時期であった。


そして、この本、実は「酒飲み」のために書かれたんじゃないかってほどに酒が登場する。
著者も本の中盤あたりで書いている。
「ただ今ふと気付いたのだが、ここまで酒を飲まない人はどう思っているのだろうか。はたしてほとんど関係ない。少なくとも半分は関係ないのではないだろうか。」
ホントよく酒が登場する。
実は旨く酒を飲むための本なのかもしれない(笑


こんな魅力に溢れた本なんて珍しいですよ。読者のストライクゾーン、広いようでめちゃ狭いもん。
多分、売れなかったのかな~。予想だけで失礼だけど。
この本にハマル人はとことんハマル人種だけど、大方は「よくわかんないけど、おもしろそうだね。でも、なんか硬派だよね」と、当時の感覚で言えばそうなるんじゃないか。オレはとことんハマッたけど。
マジョリティよりはマイノリティ。でもそのマイノリティ感に酔ったら終わり。楽しめなくなっちまうぜ。そんなメッセージがあるような気がする

オレ、もっとたくさんの人にこの本を読んで欲しいな~、なんて思う。
けど悲しいことに既に絶版なんだよね。良い本って、いつの間にか姿を消してしまう。残念なことだけど。
でも、そこで得た楽しさのコツを次の世代にも伝えていくことで、自分の生きた証になるとすれば、そんな本たちとの出会いは人生の宝となっていくのかもしれないな、と思ったり。
ま、いいや。今日はもう酔いがまわってしまった。この辺にしておこう。
まだまだ書きたい本のことはたくさんある。それはまた次の機会に・・。





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Posted by ネオプラMASA at 00:27│Comments(2)
この記事へのコメント
…私の得意分野ですな( ̄ー ̄)
って言っても、四駆は苦手分野ですが(^_^;)

四駆で乗りたいのは、三菱ジープ、ランドローバーディフェンダーですかね~

豪華な乗用車四駆には興味ないです。

ま、ランドローバーなんて買えませんが…
多分、MASAさんが四駆で山を走り回ってた時、私はMASAさんの興味ないスポーツカーで走り回ってました(^_^;)

あ、スポーツカーもどきな車じゃないですよ( ̄ー ̄)
Posted by アズール at 2012年12月20日 08:16
>アズールさん

スポーツカー!カッコイイですね!でも私にゃ似合わない車です(^^;

>豪華な乗用車四駆には興味ないです。
そう!私もそうなんですよ!
ディフェンダー、大好きです♪
おそらくこれからも実際に乗ることはないと思いますが、時々、自分がディフェンダーで河原に乗り付けておもむろにフライロッドをセットしている姿を夢想してしまいます。憧れですね(^^)

夢のある車っていいですよね~。
Posted by ネオプラMASAネオプラMASA at 2012年12月20日 13:27
 
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四駆放浪児
    コメント(2)