ナチュログ管理画面 海釣り・ソルトウォーター 海釣り・ソルトウォーター 北陸・甲信越 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2012年12月17日

びくのつれづれ

好きな本のことなんかを書き綴っておこうかな、と思い立ち。

びくのつれづれ

杉谷静・著「びくのつれづれ」

釣りキチのエッセイで、著者の杉谷さんは富山県在住。よって、この本に登場するフィールドも富山とその周辺であり、馴染みのある地名が次々と出てくる。

たしか、杉谷さんは北日本新聞の魚拓コンクールの選者になってなかったかな。
いきなり話は脱線するが、この北日本新聞魚拓コンクールで、最近の年間優勝(?)はいつもでかいスズキを釣った人のような気がする。たしかにデカイ魚っちゅうのはそれだけで説得力があるし、身近でデカさを狙うのならスズキはある意味お手軽な魚だろう。でも毎年スズキってどうなのよ?とも思う。
大きい魚ってんだったら鯉だって大きいし、スズキよりもよほどパワーもある。ま、鯉の魚拓の応募自体が無いんだろうが(笑
パワーだったらエイのデカイ奴なんて重機的な強さだし、マブナの40オーバーなんて、地域が違えば結構な魚だぜ!?今度釣ってきて応募してみようかな。軽くスルーされそうだけど(笑)

話を戻そう。

この本、何が良いって、文章が実に良いのだ。

リズム感のある文体で軽くテンポが良い。
大体、釣りの雑誌や本を読んでて、この人釣りは上手いんだろうけど文章がな~って思うことが多々ある。えらく堅苦しかったり、思いっきり型にはめこんだような文体だったり。ま、誰が書いたのか分からないと言うか、誰が書いても同じような文章と言うか。
そして、やけに釣果自慢が鼻についたり。
大体そんな本ってのは読んでて楽しくない。

で、この本はどうかというと、これがまた思いっきり自慢もしてりゃ自画自賛もしてるわけですな(笑

でもそれが全く鼻につかない。それどころか心地よい文章の一部と化してしまっている。

これは凄いことだと思う。
自慢話もあれば失敗談もあり、とにかく釣りが好きで好きでどうしようもなく好きで、釣りに釣り狂ってる様子が文章というよりも情景として伝わってくる。
風景やその場の空気感の表現が半端じゃなく秀逸なんですよ。
文、あくまで簡素かつ飾らない言葉で綴られるが、その言葉と言葉のつながりの中で生まれる言霊はまさに「リアル」。読者を心地よい気持ちに包んでくれる。
冬、窓の外にしんしんと降る続ける雪を眺めながら、本書を片手に杯を傾ける時間というのは、釣りに行かずとも至福の時間であることに間違いはないであろう。

郷土にもこれほどの釣りはもちろん、文章の方も名手の方がおられるとは誇りに思う。

今は入手するのも困難な本かもしれないが、図書館あたりで探せばどうなのかなぁ。もっと多くの人に読んでもらいたい、特に今の釣りを引っ張っている若い人たちに読んでもらいたいと思う1冊だ。

この本が発行されたのは昭和50年。
結構昔ですな。ってかオレの生まれた年でもある。
その頃の富山の釣り風景なんていうのは知る由もないので、自分的にはそこがまた新鮮だったり。
で、この本を買ったのが、高校生の時に近所の本屋で。
杉谷さんのことは「富山の川釣り」「富山の海釣り」(この2冊もめちゃ古い本で昭和40年代発行!)という本で知っていたし、その頃初めて発行された釣り場の航空写真本の解説も書かれていたので興味をもったことによる。
特に「富山の川釣り」という本は衝撃的な内容で、これについてはまたの機会に書き綴ろうと思う。


釣り方解説本なんて履いて捨てるほどありふれているし、雑誌はメーカーの提灯記事で溢れかえってるし、どんどんゲーム性やマニアックな方向を追求するあまり、釣り本来の、地に足の着いたシンプルな魅力からはかけ離れて行っている気がする。
そんな現在の釣りに違和感は感じるし、小学校の時に友達みんなで楽しんだ釣りだったが、中学高校と部活に専念したり、はたまた車に凝ったり女の子を追いかけまわったり(笑)と、一旦は釣りから離れた人たちが、やがて家庭を持ち、子供が生まれて生活スタイルも決まった頃に「昔、やってた釣りでも久々にやってみっか」と思う人が帰ってこれる間口であるかどうかということだ。
なんかわざと間口を細分化して狭めていないかい?
オレもトンガって釣りしてた頃があったが、もっと釣りの楽しさはシンプルなところにもあるんじゃね?、と。

本書は釣りばかりではなく、それ以外の分野にもわたって書き綴られている。
そのどれもが楽しく、かつ美しい。


私は自分で記事を書く時、他人から見られることを気にしては書かないが、後に自分が読み返した時のことを常に頭の隅に置きながら書くようにしている。後になって読んだときに、自分がどんな気持ちで何を考えていたか、どんな風景の中にいたか。これは日記なんだから。
そして「今日つりに行った。ヒット~。つれてよかった」的な文じゃなく、自分で読んで面白いと思えるか。じゃないと、後になって読む気にもならんけん。

おそらく本書は杉谷さんご自身にとっての最高の日記となってるんじゃないか?そう思ってしますうような、羨ましいまでの文章である。


















このブログの人気記事
寒鮃
寒鮃

富山で尾長グレ
富山で尾長グレ

ライトな夜
ライトな夜

デイゲームにおける強風と根性の問題
デイゲームにおける強風と根性の問題

ロクナナ
ロクナナ

同じカテゴリー()の記事画像
「ルアーづり入門」「つり作戦」
外来魚のレシピ
アドルフに告ぐ
「さかな大図鑑」賛歌
四駆放浪児
同じカテゴリー()の記事
 「ルアーづり入門」「つり作戦」 (2016-03-14 22:29)
 外来魚のレシピ (2015-01-12 23:38)
 アドルフに告ぐ (2013-02-17 23:26)
 「さかな大図鑑」賛歌 (2012-12-30 01:22)
 四駆放浪児 (2012-12-20 00:27)

Posted by ネオプラMASA at 22:21│Comments(2)
この記事へのコメント
昭和50年…私は多分、近所の川でフナやオイカワ釣ってました(^_^;)

平成4年頃の航空写真本も、杉谷氏が作ってますね、持ってます♪

私はMASAさんの文章もかなり好きですよ?って言うか文才あると思いますよ!(b^ー°)
Posted by アズール at 2012年12月20日 08:06
>アズールさん

どもども♪

お褒め頂きありがとうございます。でも本文中で偉そうなこと言ってますが、後になって読み返そうとも思わない記事も多々あり、また良い文章を書かれる方のブログを拝見しながら、オレもこんな文章書けたらなぁと常々思っています。

その航空写真本。越の潟の渡しフェリーが航行している所が写ってまして、別にこれは説明いらんでしょと思うのですが、ご丁寧に「フェリー」と明記されています。「これ、フェリーが釣れるんかいな・笑」と思わず突っ込みたくなるような脱力的笑いがあり、隠れたお気に入りのページです(笑
Posted by ネオプラMASAネオプラMASA at 2012年12月20日 13:11
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
びくのつれづれ
    コメント(2)