盆前のある灼熱の日。
ゆらゆらと陽炎にゆれる堤防の先を目指して歩く。
じゃっかんうつむき加減なのは、釣りに来て落ち込んでいるわけもなく、ただ暑さに耐えているだけ。
なんとなく黄色みを帯びたような空気の色。足元にはコントラストを強く際立たせた自分の影。
危険なまでの暑さに包まれた昼下がりの海は当然のように無人。
冬であれば結構な寒さの中でも釣り人の姿は絶えないのに、この暑さはさすがに人を寄せ付けないようだ。
偏光グラス越しに海中に目をやると、40センチほどのクロダイが数匹、足元の岸壁を泳いでいる。
あ~、タックルを用意してない時に限って現れるよね、キミたちは。
小さなシマダイが海藻の間をヒラヒラと泳ぎ、シェード部分にはメジナがたむろ。
水面直下には鉛筆サヨリが楽しげに泳ぎその下には小アジたち。牡蠣殻の周りにはホンベラが群れ、その横をガザミがその立派なハサミを自慢げに目立たせながらゆっくりと這っている。
夏だね、まったくもっての、ど真ん中の。
陸の上も、水の中も。
そして僕はいつもように、夏の主要キャラの一端を担うタコ狙い。
僕にとってタコは夏と冬が季節的にはメイン。春はともかく秋はとてもよく釣れる季節だけど、他にもスター選手が目白押しの季節なので、暑いだの寒いだのといった厳しい季節にも楽しめるタコって・・・・アンタ、最高だよ!
さてさて。
目ぼしいラインから叩いていく。
早々に確保するつもりだったが、いくつかの鉄板ラインでは何の反応もなし。
あれれだな、こりゃ。
居ないわけないとしつこく丁寧に攻め込んでいっても反応なし。
狙いを大きく変えて、横方向からの遠投でタコのつくブレイクラインをざっくりいこう。
根と砂地の境目にウィードの茂るエリアを、信頼のタコやんオレンジゴールドでいっきにトレースする。
中間距離でアタリがあったが乗る前に離れてしまった感触。まだ近くに居るだろと、そのまま速度を落としかつ横方向の動き幅を大きくとってアクションを続ける。
と、ほどなくして、乗った♪
アワセを入れてから寄せてくる時の感触がそこそこ良い。
モアンモアンとジェット噴射もしっかりと感じる。
8本の腕をワラワラと振り回しながら底から上がってくる様子はいつ見てもドキドキするなぁ。
魚やイカとは決定的に違う違和感がそこにある。
明らかに異質。
これがタコ釣りの醍醐味のひとつなのは間違いない。
カッコイイ~!!
今の季節にしてはそこそこの型。
今日は妻の実家に里帰りする際、義母がタコ大好きなので持っていく用のを確保したかったのだけど、お土産には恥ずかしくない型なのでこれで事足りた感が満ちている。
でも時合いになったかもだからもう1匹いってから帰るか。
今度はちゃんと鉄板ラインで出てくれた♪
ルアーは信頼のデビルエイトで。
終わってみれば短時間の釣りだったけど、灼熱地獄の釣りにはちょうど良い。
盆が過ぎれば、このポイントもアオリイカが待ちきれずにエギを懸命にしゃくる人たちで賑わうだろう。
ガヤガヤし始めるまで、もう少しの間、静かな釣りを楽しむことにしよう。
〈タックル〉
ロッド : OFT 雷魚70粘強
リール:AbuGarcia RevoBigShooter
ライン:PE6号
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